part3(21〜31)
- 慊潟まさし
不安
わたしは何がしたいのだろう?
わたしは何をするのだろう?
わたしは何のために生まれてきたのだろう?
わたしは何を遺して死んでいくのだろう?
今何が見えるのだろう?
今何が聞こえるのだろう?
今何が触れるのだろう?
今何を感じられるのだろう?
人生って一体何?
わたしって何?
社会って何?
誰か教えて欲しい。
わたしは
この世界に存在してもいいのですか?
- 神城 蒼馬
友達、恋人の存在意義
メロンパンは食べてもらうため。
コーヒーは飲んでもらうため。
本は読むため。
それぞれ目的があるから必要なの。
人間は人間が必要とするかぎりは必要で、
居てほしいと思うから必要なの。
なんでそう思うのって?
だって全部自分以外のものが決めるもの。
メロンパンもコーヒーも本も、自分では『僕は必要?』なんて言わないわ。
『私にはあなたが必要』
そう言ってもらえたら、それだけで『必要』ってことにならないかしら?
私にはあなたが必要だよ。
- 神楽坂朱夏
Re:悲鳴
みんな、自己の内側に理由を求めすぎている。
存在理由?
そんなものを考える前に、俺たちはみんな生きなきゃならねえ。
生きることに意味は要らない。
意味があるなら死んでも何も変わらないじゃないか(世界は何も変わらないのだから)。
そんな暇があるなら怒れ!
この社会に、存在理由などを考えさせてしまうようになったこの社会に!
人はひとりじゃ生きてゆけねえ。自分に悩んで何の意味がある?(そんなものは断じてないのだ!)
悩む前に生きなきゃなんねえんだよ!
どうして誰もそれに気付かぬ?
怒りを忘れた者が多い世界、未来は?
- ねこまんま
21 world 〜逆位置〜
ひとりで雪を見ていた
冷たくて黒い雪
気が付けばそばにいた
名前も年もわからない君
言葉なんていらなかった
君は私を欲してる
私も君を欲しがっている
だから言葉なんていらなかった
温かさが全てを伝えてくれるの
視線で殺して
嗅覚で狂わせて
触覚で堕として
眠らせて・・・
そしてまた
雪をみている
冷たくて黒い雪
温もりを奪う雪
温かいのは涙だけ
- 神城 蒼馬
幸せな不安
あなたがいる。
私はそれだけで幸せ。
でも私はそれだけで本当に幸せなのかな?
触れたい、触れてほしい。もっと近くで。
あなたの温もりを肌で感じられるくらい近くで。
以前は求めあうことさえ怖かったのに。
私が、私でなくなりそうだったから。
でもいまは違う。
あなたが私を変えてしまったの?
私はどうしてこんなことを考えているんだろう?
以前はあなたがそばにいるだけで幸せだと感じていたのに。
いまはあなたがそばにいるから不安なの。
いつか、私のそばからいなくなってしまいそうで…
- 慊潟まさし
笑顔の向こう側に
並んで歩く夕暮れの道
赤く染まった君の笑顔は
いつも以上に可愛いけれど
どうしてだろう 胸が苦しい
なぜか悲しく瞳に映る
いったい何を考えてるの?
心の奥で何を想うの?
君が隣で奏でるメロディ
この前までは知らなかったよ
だけど今ではわかる気がする
こんな悲しい夕焼け空と
遠く見つめて口ずさむ君
もうすぐ君の誕生日だね
プレゼントはね 決まってるんだ
想い出たちがいっぱい詰まった
最高のプレゼントだよ
だって今度が
僕が祝ってあげられる
最後の君の誕生日かも
しれないからね
- 玖月遼夏(クヅキハルカ)
冬の月
月に透く
ラピスラズリに
魅せられて
時を忘れる
こどものように
- 慊潟まさし
若風担架風指摘駄文
沈み逝く
夕日に朱く
染められて
頬で感じる
春の吐息を
- ねこまんま
ぽえみぃ
寂しいの
まるで闇に抱かれているみたい
愛が欲しいの
冬の寒さを掻き消すが如く
声が聞きたいの
貴方の子守唄に似た囁きが欲しいの
涙を見ないでほしいの
我侭な女の子にはなりたくないの
気が付いて
壊れる前に、壊す前に
- 神楽坂朱夏
目眩
月夜。酒。めまい。
寂しさに
溺れる金魚。
甘いよ。
(わかっているくせに)
鉄葉(ブリキ)の風が
夜の底に零(オチ)る。
凍てついた手触り。
振り向けば誰もいない。
いつもめまい。
音も枯れる
水槽は
水もなく、
出口もない。
哀しみは
繰り返される世界を充たす。
(願いもしないのに)
青銅の犬は
黙って金魚を嗤う。
寒いよ。
こわいよ。
でも、何もできない。
めまい。酒。そして月夜。
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