part2(11〜20)
- 一刻堂 樹
たい
鯛炊いた
板井他居た
遺体焚いた
痛いタイ対炊いた胃
他意大
- 神城 蒼馬
天を観る人間
空のように晴れたい
海のように包みたい
雲のように浮きたい
花のように咲きたい
華のように散りたい
鳥のように歌いたい
月のように輝きたい
星のように流れたい
- 慊潟まさし
if
もしも願いが叶うなら
わたしは何を祈るだろう
- 壱
明るくしてみた。
とっぱととっぱとっぺんぱぱた
ラッパぱぱっぱぽっぺんとぱぱ
光るラッパを吹き鳴らし
おもちゃの兵隊歩いてく
赤の上着が綺麗に並んで
黒いブーツがぴかぴかと
金のボタンが誇らしげに
白いモールが揺れている
風は愉快に踊ってまわり
こたえて旗がひるがえる
日の差す通りに跳ねる影
出てきてごらんと鳥の声
木々の枝には緑が芽吹き
ほろほろ優しく花が咲く
光の輪を受けまっすぐと
空に向かって伸びた葉は
待ちきれなくて歌い出す
とっぱととっぱとっぺんぱぱた
ラッパぱぱっぱぽっぺんとぱぱ
ぱたたたとぱたぱたったぽとぱ
ぽぽとぽぱたっぱぱっぱたぽぱ
ぱたたん!
- 神城 蒼馬
私の幸せは貴方のすべて
貴方が幸せなら、私はそれけで充分なの。
でもワガママを1つだけ言ってもいい?
貴方が私の事を好きだと言う事を伝えてちょうだい。
貴方の抱擁、その瞬間、貴方は私だけのもの。
今、時が止まったなら、私たちは永遠の二人になれるわ。
だから、抱き締めて…
強く…離さないで…
- 神楽坂朱夏
あゝ無情
酔いたくても酒を買う金が無し
休みたくても夢を買う時も無し
あゝ、この世はとかく生き難い
旅に出たい
どこまでもいつまでも
私はそのとき「わたし」を取り戻すのだろう
この世界にわたしは存在していない
右を向けば左に謗られ
左を向けば右に詰られ
上はただ見上げるばかり
下に行っても仕方がない
それでも私はここにいる
では
そういう「ここ」とはどこにあるのだ?
私は……どうしたらいいのだろうか?
- 慊潟まさし
eine traurige Welt
心の酒は本気の涙。
夢は描いて掴むもの。
どれだけ時が流れても。
これだけは決して変わらない。
金で全てが買えるなら。
金だけがこの世の全てなら。
この世は光の届かない。
乾燥した白色矮星と同じ。
人は同じ日常を繰り返すよう。
プログラムされたロボットと同じ。
もしそれが大人になるということなら。
わたしは大人になどなりたくはない。
- 一刻堂 樹
無題
通話時間2時間40分17秒
自分がいかに何もしてやれない存在かを知る。
1月21日深夜27時
幸せとは何か。
答えられなかった。
ただ、涙する以外にすべはなかった。
話を聞く以外には何も出来なかった。
1月22日
僕は一人の少女が傷つくのを見ていることしか出来ないのだろう。
何も出来ない自分が恨めしく、悔しい思いをするのだろう。
強くなりたいと、もうこれ以上僕のまわりで悲しむ人を見たくないと、
心からそう願った。
生まれて初めて神の存在を信じ、そして同時に神を怨んだ。
何故、彼女が苦しまなければいけないのですか?
神よ、答えてくれ。
彼女を助けてくれ。
僕には出来なかったんだ。
神の存在は明日否定されるのだろう。
そして僕には何も出来ないのだろう。
それが…つらい…
- 皇 京
I believe you with trust and...
虚言癖のあるアナタへ
私も嘘をつくのが上手なの。
だからアナタの事を理解してあげられると思ったの。
アナタの嘘の全てを受け止めてあげられたの。
嘘を嘘だと知りながらも「大変だったね」って言ってあげたでしょう?
私がアナタと知り合ったのはアナタが私の手首の傷を見つけた時だったわね。
「私が手首を切っても誰にも迷惑はかからない」
そう言った私に
「そんなことはないよ、僕は困る。」
そう言ってくれたのがアナタだったわね。
あの言葉は偽りだったの?
どうして嘘をつくの。
「自分が傷つくのが怖い」
電話で私にそう言ってたものね。
私には分かっていたわ。
だから電話したんだから。
傷つくのが怖いから、本当の自分を見せられないんでしょう。
だから私はアナタを信じられるの。
私とどこか似ているアナタを。
私を信じてくれたアナタを。
私が本当に心配したアナタを。
そして私の目の前からいなくなったアナタを。
全てが偽りだと分かった次の瞬間私はまた無我夢中で手首を切り付けた。
またアナタに逢えるかもしれないと自分に嘘をついて。
もうアナタは私の目の前に現れない事と思います。
アナタは私の事を忘れるかもしれない。
でも私は忘れないわ。
だってアナタを今でも信じているから。
電話で言ってくれた。
「僕は君を大切な友人と思っている」
私だってそう思ってたわよ。
だから私はアナタを失いたくないの。
でも…さよなら。
アナタが私の事を考える時が来る日を願って。
- 壱
「七は花」
残念ながら、種はいまだにまどろんでおり
ゆらゆらと
ただ、ゆらゆらと
海の中に包まれ眠る
瞼ごしに光が一条透かし
二つめの葉には甘露がひっそりと姿を見せた
夜空の三日月は燦々とうたうのだが
根っこは四方にせわしなしく伸び
五感を研ぎ澄ませようともしないのだ
小さな虫は折角の六本の足で歩こうとしているのに
そうして
すっかり一巡する前に
ガラスの砂地に薄桃の花が
そろりそろりと咲いたのです
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