Rain fall
慊潟まさし
雨の合間に空を見上げて。
失くした物の数を数える。
一つ二つのレベルじゃなくて。
十二十ではまだまだ足りず。
全部なんだとやっと気づいて。
声にならない想いをもらす。
何で私は生まれてきたの。
どうして全て失くしちゃったの。
何でこんなに生が辛いの。
どうして私、これから死ぬの。
溢れる問は行き場を失くし。
見えない解の面影探し。
元から無いとやっぱり気づき。
それでも探す自分に少し。
希望を見つけ、ただ絶望し。
零れる笑みを堪えられない。
ただ真っ直ぐに見つめた先に。
水平線に沈む太陽。
夕暮れ色は雲まで侵し。
もの悲しさを増長させる。
ただ普通に生きていきたい。
そんな願いは聞き入れられず。
どんなときでも苦痛が犯し。
生はいつでも蹂躙される。
死にたくないと思う心に。
いつからか死が描かれていく。
だけどその死は私のじゃない。
私を殺す全ての事象。
だから私はその死を描き。
私を殺す全てを殺す。
隠したナイフその首を割き。
無惨に裂けた白のブラウス。
きれいな赤の鮮やかな帯。
転がる首に突き刺すナイフ。
凄惨な今、零れる笑い。
全て殺してようやく気づく。
描いてたのはそんな死じゃない。
自分も含む全ての破滅。
そんな願いは叶うはず無い。
だから私は破滅を選ぶ。
私自身の世界の破壊。
だから私はわたしを壊す。
ビルの屋上雨に打たれて。
用をなさない濡れたブラウス。
思い残したものなど無くて。
一度大きく息を吸い込む。
そんな動作に苦笑いして。
死への恐怖を改めて知る。
それでも足で地面を蹴って。
ただ一筋に落下していく。
雨と一緒に奈落の底へ……。
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